大人ダウンジャケット問題に終止符を打ったMooRERについて
今回は、大人の装いのうち、ダウンジャケットについて記事を書きました。
ご笑覧ください。
はじめに
ダウンジャケット。
東北の厳しい冬を乗り来るには必須のものだと、寒さに弱い私などは痛感しているのですが、実にこれが悩ましい存在で、とりわけ大人にとっての選択肢が決して多くなく、そして安い買い物にならないのはご承知のとおり。
前者に関しては、どうしてもダウンジャケットというとモコモコしているうえに余計なロゴが入っていたりと、大人の装いには使いづらい。寒さが堪える大人からダウンを奪わないで欲しいものです。
後者は言わずもがなですが、近年は特に値上がりが著しい。記憶が定かではないものの、定番のカナダグースなどは10年前の2倍近くするのではないでしょうか。
そういったわけで、毎年のように冬が来るたびに悩み、時には失敗してきた大人のダウンジャケット問題ですが、この度とうとう決着をみましたので、ご紹介したいと思います。
大人ダウンとは
私が長年悩み、時に迷走しながら行き着いた大人ダウン像、それを説明するために、いかなる基準で”最後のダウン(たぶん)”を選んだかを述べたいと思います。
1 モコモコ感
基本的に、ダウンの膨らみは暖かさの肝、ダウンの量によるものですから、モコモコしているから暖かいのだというのはいうまでもないのですが、ビバンダムのようなモコモコはどうしてもカジュアルかつ子供っぽくなりがちで、着こなしの幅を、とりわけ大人のそれを、大きく制限します。
これをミニマムに、かつ暖かさをマックスにしつつ、すっきりしたデザインのものを。
2 丈(たけ)感
多くのダウンはショート丈ですが、その一番のネックはオンで使えない、すなわちジャケットの上に着られないことです。上着の裾からジャケットが覗くほど間抜けなことはありません。
オンオフ着るために、ショートではなくミドル丈のものを。
3 フード
そしてフードのないものを。
ダウンジャケットのフードというものは寒冷地で作業をする人以外は基本的に飾りです。
私はシンプルミニマムな方がいいのと、やはりフードは何かカワイイもの、子供染みたもののように思えて、ないものにこだわりました。これは好みの問題でしょうね。ダウンにフードはデザインの一部、それがないなんて!と感じる方もいることでしょう。
事実多くのダウンジャケットはフードが付き物なので、この点、選択肢が狭まるわけですが、悩みがちな自分には、むしろ悩む要素が減って良かったというのが印象です。
MooRERの”MORRIS"について
かくして、私の大人ダウン問題は最終的に MooRERの”MORRIS"で解決することになりました。
MORRISの特徴
私はファッションバカでもショップの人でもありませんので素人的に述べますと、MooRERというイタリアのブランドは、こと高級ダウンジャケットに関しては、MONCLER(モンクレール)かHerno(ヘルノ)かDUVETICA(デュベティカ)かこちらMooRERかという存在と言われています。
ダウンジャケットだけで無茶苦茶多くのモデルを擁している力の入れようなのですが、ショート丈のSIROというモデルがとりわけヒットしているようです。
MORRISというのは、このSIROをミドル丈にしたモデルで、ダウンジャケットの特徴であるキルティングが縦に仕立てられていること、ボタンがダブル(2列に並んでいる)ということ、絞られたシェイプというのが大きな特徴でしょうか。
私が購入したのがこちらです。色はグレーベージュ。超絶スタイリッシュです。
以下、私がダウンに求めていたものに対する評価の意味も込めそのインプレッションを述べたいと思います。
結論として不満はないので、基本いいところと、サイズ感についてです。
スタイリッシュ&ラグジュアリー
何しろシェイプがいい。
さすがイタリア。デザインに妥協がないですなぁ。絶妙なカーブで身体にフィットします。
ダウンジャケットのようなものは基本的に既製品を買うしかなく、身体の方から合わせに行くものであるところ、私は細長い体型なので既製品がなかなか似合わないと感じることが多かったのですけど、これは良い。
色も悩み抜き、しかも現物を見ることなくポチったので心配でしたが大満足。
光の当たり具合で表情が変わり、まさに大人の発色という感です。
シルバーのようにもグレーのようにも。ベージュという感じではないかもしれません。
なお細かいけれども重要なこととして、MooRERの良いところは見えるところにブランドロゴがない(よく見ればあるけれど、これ見よがしではない)ことです。
およそ大人の装いで、ブランドロゴや文字ほど全てをぶち壊すものはありますまい。こういった姿勢も実に好感がもてます。
頼もしい暖かさ
機能面も完璧です。
タイト気味ゆえ気になるところではありましたが杞憂でした。まだ氷点下を経験していないものの、それでも一桁台の寒さで着ていますが、暖かい!
とくに、やっぱり尻がちょうど隠れる丈なのが、防寒の面でありがたみを感じる日々です。
この点でもミドル丈のお得感が最大化されると言うものです。
首周りは気持ちのいいラビットファーでマフラー要らず。この大きさもいい。着脱可能です。
ちなみにムーレーにはこのような対応気温チャートがついています。
この点はよく検証せずに買いましたが、このモデルはマイナス12度まで「快適」と言う表示です。そら暖かいわけですね。
サイズ感について
私は180センチ細長体型。選んだサイズは48です。
ムーレーは試着をしたことがあるので適正サイズはこれだなという確信がありましたが、ジャストフィット。
腕を下ろすと親指の第二関節に触れ曲げると時計がスッと見える感じです。
ちなみに袖口にリブなどがないのも個人的には好みです。締め付けられる(そのぶん暖かいのでしょうけど)のと、ヘタってくると物哀しくなるので・・
ジャケットの上から着ても窮屈ではなく、ファスナーを全部無理なく閉められ、それでいてルーズなところがありません。優しく包まれる感じで実に気持ちがいいです。
個人的には、よほど痩せてない限り180前後の人なら48、タイト気味ゆえ同じ身長で太ってたら50だろうなという感触です。
まとめ
私にとって大人のダウンジャケット問題は非常に長い間頭を悩ましたものでした。
一生モノだからといって散財をすること自体はいいけれども、時計や靴と違って、流行り廃りや年相応でなければならないといった要素があり、かつスーツのようなセオリーもない代物だけに、結果として「一生モノ」として機能せず、結果としてただ高い買い物をするというのは怖い。
しかしとうとう、長旅の果てに一生着られそうな一生モノを得た思いです。
本格的な冬が楽しみです。
Barbourを着て1年が経ちましたが
記録的な暖冬とは言え冬は冬。日毎に寒さが募ります。
そんな中、ふと「そういえばBarbour買ったのは去年であったか」ということに気づき、ここらでレビューのひとつでも書いてみようかと思った次第です。
Barbour"BEDALE"ーそれはそれはメインで使い倒しているわけですが、メンテナンスや着こなしの注意点など、思っていたものとやや違う(いい意味と悪い意味で)ところもあり、購入を悩んでいる諸兄には参考になることも多少はあるかもしれぬと思ったからです。
もうショーウィンドウには春物も並ぼうかという今日この頃ですがしばしお付き合いください。
私のBarbourに関するファーストインプレッションについてご興味の向きはこちらをご覧くださいませ。
では、いよいよ一年経過しての感想です。
着こなしについて
「くずし」のためのアイテムとして
はじめに、購入前に私が考えたのがスーツやジャケットなどビジネスシーンにおける活用でした。
まさにこんなイメージがあったからですね。
(otokomaeken.com)
はなから邪道と言われれば身も蓋もないわけですが、堅苦しくならず軽妙にして滲み出る伊達男感。たまりません。
しかし、これを実践するときに注意しなければならないなと実感したのが、こうしたお洒落な感じを出すためには、スーツスタイルに妥協をしてはいけないということです。
すなわち、Barbourはもともとアウトドアの服。言ったら肉体労働者、ゴリゴリのブルーカラーの服です。
あえてくずしてるんだよ、というためには、身体にフィットしたスーツをパリッと着て、シックなネクタイをきちんと締めてスーツスタイルを完成させてからでないと、そのBarbourの野暮ったさの方が勝ち、「コートがない人」「農家の人がお呼ばれされた」感が演出されてしまうのです。
くずしてるのじゃじゃなく、崩されてしまうわけですね。
こうなるとイ○ンなどのよくわからないコートを羽織ってる方がマシかもしれません。
その意味から、どちらかと言えばジャケットではなく、キメやすいスーツスタイルの方が雰囲気を出しやすいと思います。
また、あくまで遊びですから、スーツスタイルで毎日使うが如きはやはり避けた方がよいというのも感じます。
「お洒落な普段着」として
もちろん普段着から屋外の仕事、犬の散歩までオールマイティに使えそうだ、ということも購入の決め手であったわけです。
こちらについては想像以上に非常に使いやすい服です。
ジーンズにこれさえ羽織っときゃとりあえず外に出られる格好の出来上がり。合わせる服を選ばない汎用性。どんな格好をしようともこれ一着で雰囲気あるブリティッシュ•スタイルにまとめてくれ、休日のお父さんもただのお父さんじゃなくなります。
それでも、やはりどちらかというとキレイめの服の上に羽織った方が良さそうです。
スーツやジャケットと違い普段着ですから何に着ようが自由なわけですが、この服の野暮ったさの破壊力は侮れません。
作業着や犬の散歩、コンビニまでならまあいいとして、いわゆるお出かけの際は努めてインナーはキレイめを心がけなければならぬようです。
特にもワタクシ地方在住。田園風景や漁村の風景に意図せず溶け込んでしまいます。
(kuramotoso.jp)
油断するとフラノコレクションに。写真は黒板吾郎モデル。
メンテナンスについて
これについては、この服が「オイルドジャケット」という、防風や防水のために生地にオイルを塗り込んであるものであるがゆえ、巷では
- 専用のオイルを自分で塗り込む必要がある
- 車のシートにオイルがつく
- クローゼット内では隔離する必要がある
- 匂いがきつい
- 満員電車で着るのはマナー違反
など、様々な噂が飛び交っており、私も大いに悩んだものです。
しかし、どれも気にする必要はほとんどない、というのが実感です。
もっとも、オイルメンテは必要(機能のみならず独特の風合いの維持のため)でしょうが、ショップの人によると3年はノーメンテで大丈夫とのこと。
もちろん何もしてません。
また、これまたネットでは「熱湯をかけて古いオイルを落とす」だの、「段ボール箱の中でドライヤーを当てる」だのクッソめんどくさそうなメンテ法が紹介されていますが、面倒ならショップに頼めばいいのです。
また、車のシートも全く気にせず使えます。
白の革に長時間とか、その辺りは検証してませんが、触れただけでオイルが付くなんてことはないのです。
匂いもほぼ無臭。強いて言えば服屋の匂いです。塗りたてはまた違うのでしょうか?
なお、この冬を迎える前の保管ですが、念のため裏返しにして他の衣服と一緒に吊るしていました。
それほど扱いの面倒なものではありませんね。
総評
以上のように、
- オンオフ活躍するものの羽織る前の装いに気遣いを怠らぬこと
- オイルは恐るに足らぬこと
がまとめとなるでしょうか。
まだ2年目、永く着て経年変化を楽しむものだとも言われており、もちろん廃れることのないスタイルの服ですから、言われるまでもなく多分死ぬまで着るでしょう。
さてBarbourについての駄文でネットの片隅を汚すことになる本日は、奇しくもBarbourを生んだイギリスがEUを脱退した歴史的な日と重なりました。
少なくともファッションに関しては「ブリティッシュ・スタイル」という世界のスタンダードを生んだ国。
私は言うに及ばず、およそ大人の装いに関心を持つ者で彼の国に憧れを抱かぬものはないでしょう。
カウントダウンで離脱を喜ぶ英国人のメンタルは計り知れませんが、人々の暮らしとブリティッシュ・スタイルを担う職人やファクトリーに幸多からんことを願いつつ、投稿ボタンを押します。カチッ。
サイズ感についてはよろしければこちらもどうぞ
ビジネスシーンにおけるスニーカー考
酷暑もひと段落どころかもう秋まっしぐらの感も漂う今日この頃です。
そんな本日は「男の装い」に関する一考察、「ビジネスシーンにおけるスニーカー」についてです。
とにかくこの話題については「すでにスニーカーはビジネスの場でも確固たる地位を得た」というものから「運動靴ふぜいがフォーマルを語るな」というものまでさまざまな受け止め方があるものと言ってよいでしょう。
私はと言えば若い時分から「運動靴ふぜいが」派に近しい立場であった気がしますが、下手なこだわりを捨てて取り入れてみたところ存外にこれを気に入った次第ですので、そのいきさつについて書き留めておこうという気になったわけです。
おそらくこの駄文にたどり着いた諸兄の中には同じような葛藤を抱いておられる向きもあるでしょうから、何かの足しになれば幸いです
今更スニーカーを取り入れた経緯について
今やよほどかっちりした服装が求められる職種以外では「職場でスニーカー」を履いている人を見るのはめずらしくなくなりました。
しかし貧乏学生の頃から英国靴に魅せられ、給料が10万円代にもかかわらずコナカの吊るしのスーツにクロケット&ジョーンズのストレートチップを履いて社会人生活をスタートした自分には、スニーカーはまさしく運動靴。
紳士の装いとは縁遠いもの、運動靴を履いて職場に来て、あまつさえ職場に着いたらサンダルに履き替えるがごとき輩は紳士にあらずは言うに及ばず、社会人の風上にも置けぬ奴と唾棄したものであります。
しかしそんな自分がいかなる変節で運動靴を履いて通勤するに至ったか。
結論から言うと、仕事の装いに対する考え方が柔軟になったとの、タイミングを同じくしてビジネスシーンに合うスニーカーに出会ったから、ということではないかと思います。
すなわち、サンダル履きの先輩を軽蔑し唾棄しつつ、「夏でも俺はジャケットを脱がないぜ」といったこだわりが、この酷暑も相まっていわばアホらしくなった。それはTPOを逆にわきまえていないような気がしてきたとでも言いますか。
しからば夏は足元も軽快に、もちろんビジネスシーンであることを十分に踏まえたうえでとなると、どんな靴を履くべきか。
2 ビジネスシーンに合うスニーカーについて
スニーカーを履かない大きな理由の一つに、
「どうしてスニーカーはメーカーが一目でわかるようなデザインなのだろうか」
というのがありました。
そして、メーカーが一目でわかるようなデザインというのは、イコールビジネスシーンに求められる、過度な主張をしない、落ち着いたたたずまい、すなわちシックさを損なうものでありますから、おのずとスニーカーは縁遠いものとなるわけです。
また、スニーカーはカジュアル靴・運動靴ですから、どうしてもシルエットにオフ感が余分に滲み出るため、足元だけ浮いてしまう現象が起きます。
しかしこの靴
patrick “punch”
に出会ってしまったのです。
写真だとなんだか高級なスタンスミス↑みたいですが、
履いてみるとその差は歴然。
細身でロングノーズのためスラックスに合います。小学校の先生のそれのように、足元だけ浮く感じがありませんね。
あと、履かなければ分かりませんが革が非常に柔らかく、軽い。これは癖になる履き心地です。
※私のモデルはシュリンクレザーの別注で、より柔らかいです(自慢)。
とにかくスタンスミスとは別物です。顔も書いてませんしね。
スタンスミス氏(wikipediaより)
少し逸れましたが、シックさを損なわず、それでいて軽快に夏のビジネスシーンに用いることができるスニーカーにめぐりあったことによって、私の「ビジネスシーンにおけるスニーカー観」ときたら
「運動靴ふぜいが」
から
「なんで今まで履かなかったんだろうか」
にまで手のひらが180度ひっくり返った次第なのです。
ウォータープルーフモデルもあります。
試着しましたが、雨に強いという点よりも、光沢があってよりビジネスシーンに合いそうというメリットを感じました。ロングノーズも強調されています。
スニーカーの限界について(蛇足)
散々ビジネスシーンにおけるスニーカーを礼賛してきたわけですが、当然ですが万能選手ではありません。
ビジネスシーンにおけるスニーカーには自ずと限界があります。
まず、ジャケットスタイルまではいけても流石にスーツスタイルには厳しい。
(別にスニーカーさんはドレスシューズに取って代わろうとは思ってないと思うので、以下は勝手な妄言です)
スニーカーはスーツスタイルで厳しい。そこは越えられない壁がある。
最後に、これはなぜなのか?を自分なりに考察してみたいと思います。
役割が違うからだと言ってしまったら身もふたもないので、少し角度を変えてみましょう。
それは、スーツスタイルに求められ、それでいてスニーカーにはないものとは何かを探ることであります。
機能美かというとそれは的を射ていないかもしれません。スニーカーは運動靴ですがドレスシューズとてルーツはアウトドアです。同じく革の紐靴と考えると、なんなら機能的にはスニーカーの方が優れていそうです。
私としては「消耗品か否か」に1つの答えがあるように思います。
やはりスーツスタイルに合う靴はメンテナンスをして長く履くものであり、手入れの行き届いた古い靴によって男の装いが完成するようなところがあります。
そこにいくとスニーカーはそもそも長い間履くものとして設計されていません。わかりやすい違いとして、ソール交換ができません。つまり究極的には使い捨てです。
(Patrickの一部モデルはソール交換ができますが、その他の部分が持つか、交換がきくのかと考えるとせいぜい1回でしょう。)
スーツスタイルは、そうした「使い捨て」のようなものを身につけることを許さない暗黙のルールがあると思います。
これにより、どんなに細身でロングノーズで高級な素材を使ったとしても、スーツスタイルのワードローブには加わることはできないと思われるのです。
繰り返しになりますが、別にスニーカーはドレスシューズに寄せてるわけでも取って代わろうとしているわけでもありますまい。
勝手に履いといて余計なお世話かと思います。
しかしこうした限界ーすなわち男の装いにおけるルールに結びつくーを意識しながら、うまくこの快適でお洒落なアイテムと付き合っていきたいと思うのであります。
20年履いて決着、J.Mウェストン「ゴルフ」vsパラブーツ「シャンボード」
本日は革靴のスタイルのひとつ「Uチップ」のお話。
その中でも絶えず比較され続けるフランスの両雄、J.Mウェストンの「ゴルフ」とパラブーツの「シャンボード」について掘り下げてみたいと思います。
そして、「ゴルフvsシャンボード」という、私が知る限り少なくとも20年は靴好きのネタにされている永遠のテーマについて、私なりの答えを導きたいと思っております。
お付き合いください。
Uチップという存在
Uチップとは、革靴の甲の部分の飾り革がU字型にモカシン縫いされた革靴です。
それは紳士靴の定番にして、「ドレス過ぎず外し過ぎず」の絶妙のバランスにより高い汎用性を持つ稀有な存在。
カジュアルでいて洒脱な雰囲気を併せ持ち、どんな格好をしようとも上質のUチップさえ履いておけばそこそこ洗練されたスタイルに高めてくれます。
Uチップの代表作
各メーカーで特色あるモデルを作っていますが、Uチップとはずいぶんお国柄が出る靴のようです。
フランスのUチップ
まずは本記事で取り上げるフランスのUチップ。
ルーツは「狩猟用の靴」だそうです。
ガチガチのアウトドアですね。
撃たれたい(画像はイメージです)
代表作は言わずと知れた「ゴルフ」と「シャンボード」。
フランスのUチップは、つま先が丸い(尖ってない)ので、イギリスのUチップと比べると「まさにU」という感じがします。
また、尖っていないことが、服装を選ばないというところにつながっており、こういうところにフランスのセンス、美意識を見る思いがします。
イギリスのUチップ
カントリーシューズがルーツです。つまり、フランス同様にアウトドアの「働く靴」から進化しているのですね。
代表作はエドワード・グリーンの「ドーヴァー」やクロケット&ジョーンズの「モールトン」。
クロケット&ジョーンズの「モールトン」
つま先は軽く尖っていて、シャープな印象を受けます。ドレス寄りと言えるでしょう。
アメリカのUチップ
ルーツはゴルフシューズ。こちらはアウトドアのスポーツです。
スポーツとしてのゴルフの発祥は英国、靴が発展したのがアメリカ、「ゴルフ」の名を冠する世界一有名な靴はフランス。ややこしいです。
代表作、と言っていいのか不明ですがオールデンのコードバンのUチップがあまりにも有名です。
オールデンのコードバンのUチップ
見た目よりボリュームがあります。主張する素材・・どちらかというとカジュアルですね。
ゴルフとシャンボードの比較
それではいよいよゴルフとシャンボードの比較です。
製法と素材
まず製法です。
ゴルフ、シャンボードとも堅牢性の高い靴ですが、ゴルフが本格靴の定番、グッドイヤー・ウェルテッド製法を採用しているのに対し、シャンボードがノルヴェイジャン製法。
これは登山靴などに用いられてきた製法で、パラブーツのお家芸ともいえる製法です。
防水性と堅牢性に優れる一方、厚い靴底に加え、靴底とアッパーの間の空間に太いステッチが覗くという形状のため、どうしてもカジュアルな印象が出ます。
主張の激しいステッチ。パラブーツ
素材はいずれも油分を多く含んだ厚い革が使われますが、革もそれぞれ独自の製法です。
ゴルフが「ロシアンカーフ」パラブーツは「リスレザー」と呼ばれています。
近年ゴルフのロシアンカーフは廃版になり、現行モデルはサイトによると「ソフトカーフ」。どういう素材なのでしょう?
厚さに関してはパラブーツのほうが厚いと感じます。
シェイプ
形について。同じサイズでも印象は大きく異なります。
ゴルフはシャープな印象を受けますが、シャンボードは全体的にボリュームが出ます。
足入れ部分、甲全体ともにシャンボードのほうが高さがあります。
それに加えて、ゴルフのモカ部分が先端寄りにつま先をなぞるように縫われているのに対し、シャンボードのモカ部分は足首のほうに近くなっていて、このことによってシャンボードのボリュームや丸っぽさが強調されているように思います。
履きごこち
どちらがフィットするか?と聞かれたら「ゴルフ」と即答します。
同じサイズ(いずれも71/2)ですが、ゴルフはさすがフィット感に定評のあるモデルだけあって、よく足になじみます。
一方シャンボードは、甲が高い靴であることと、長い間履くにつれ靴底に敷き詰められたコルクがずいぶんと沈むので、そもそもフィットさせるのが難しいと感じます。
汎用性
着こなしにおける汎用性はどうか?ということですが、
- スーツスタイルでもマッチするのはゴルフ。
- ジャケットスタイルになると辛うじてシャンボードも認められる。
- カジュアルならシャンボード。ゴルフも黒以外なら問題ない。
というイメージです。
やはり20年履いて・・・というか年を取って感じるのは、シャンボードはカジュアル用の靴だ。ということです。
若ければ「おしゃれだね」で片付けられる着こなしも、年を取ってくると、スーツ×シャンボードは明らかに「TPOがわからない人」になってしまいます。
シャンボードが、「黒」で「タグがなく」「ステッチが黒い」なら別ですが、、
耐久性
「一生ものというけれど本当か?」
ということです。「使いようによる」といえば身もふたもないのですが、耐久性に関しては断然シャンボードだと思います。
こちらのゴルフ、オールソールをしています。地方ゆえショップに出すということは考えませんでした。ビブラムソールです。
もうゴルフじゃないとすら言えます。実際、オールソールをすると履き心地は別物。だんだん馴染むとは言え直後はあまりの変わりぶりにショックを受けました。
いっぽうシャンボードのほうはゴルフより2,3年古いのですが、オールソールはしていません。減らないのです。
しかしアッパーが限界です。購入したあたりでもうすこしシューケアを知っていれば、問題なくこれからも使えたはずです。
シャンボードの耐久性は驚異的です!
ただ、どちらもきちんとケアすればまさに一生もの。それは実証できたと思います。
その他
オールソールを頼む時、あるいは磨いた靴でショップを訪れる時。
靴に造詣の深い店員さんの態度が変わるのはゴルフです。
一方パラブーツ。何が嫌ってたまに他人とかぶることです。いい靴で価格も手頃という証ですが靴好きとは身勝手なもの。
他人が同じ靴を履いているのは嫌なものですからね。
結論〜ゴルフとパラブーツ、どちらを選ぶべきか
実は、まさに今、シャンボードとゴルフが同時に限界を迎えようとしています。
正確にはまだまだ履けますが写真でお気づきのとおり、傷みが目立つようになってきたのです。
新しいタイプの靴ではなく、同じ靴を買うとしたらどちらを買うだろうか?それを考えたのが本テーマのきっかけでした。
結論を言うとどちらかと言われれば私はゴルフです。
しかしそれは、靴の優劣ではなく、大人ならば、という理由です。
つまり、シャンボードはいい靴で、とにかくタフに使えるのはほかに例を見ないけれども、やはり大人としては仕事には使えない。
また、フィット感に関して、甲が低い私の足にはシャンボードが合わないという事情もあります。
一方、ゴルフはビジネスでも、大人カジュアルでも使えます。茶色系のゴルフさえ持っておけば他がくたびれていても全く問題ないですからね。
おまけにフィットの快適を求めるとこれに勝る靴はそうそうありません。
ちょっと心配なのは、ゴルフはいまもかつてのゴルフなんだろうか?という点です。
何しろ値上がりしました。
ネットでは「素材が変わった」だの、「店員の質が落ちた」だの、不安になる材料も転がっています。
12万円を超える価格に、現行のゴルフは見合っているのでしょうか。
しかし、地方ゆえなかなかこの目で確認することができません。
なんとか近いうちにぜひ実地調査をして見極めるとともに、本記事も追記したいものだと思っています。
2019.3.21追記
南青山のJ.Mウェストンに行ってきました。
念願のマジフィッティングと試着、店員さんとの靴談義を楽しんで参りました。
革については、固い気がしましたが、新品だからなのか製法の違いなのか、私にはわかりませんでした。
結論としてはやっぱり素晴らしい靴だなと思いました。
高いは高いけど革靴みんなそうなってるし、下がることはないのでしょう。
それより、本気で手入れして死ぬまで履ける靴を手に入れたい思いが勝ちました。
店員さんの対応も素晴らしいし買わせに来ないし、何より履いていったゴルフ(10年もの)の紐を無料で替えてくれました…!!
とりあえず、その場はクールダウンしました。が、次行くのは買う時だなと思います。
パラブーツのサイズ感は?特徴を知って失敗しない靴選びを
靴好きなら一足は持っている「パラブーツ」。本記事では、主にそのサイズ感について、愛好家の立場から書いてみたいと思います。
本記事は、こんな人におすすめです。
- 「パラブーツがほしいけどサイズ選びで失敗したくない」
- 「どのサイズを選ぶべきか知りたい」
- 「実際に持っている人からリアルなサイズ感を聞きたい」
ではどうぞ!
パラブーツとは
靴好きを魅了してやまないパラブーツ。移ろいやすいファッション業界にあって、変わらぬ存在感を示す稀有な存在のシューズブランドです。
まずはそのブランドと製品についておさらいをしましょう。
(「知ってるよ」という方は読み飛ばしてください。)
日本の公式サイトで「パラブーツの歴史」を見ると飛び込んでくる(我こそ)「フランスの一部」のコピー。強烈な自負を感じますね。
それもうなずけるのがこのシューズメーカーの歴史と確かなものづくりと言えるでしょう。。
パラブーツは、靴職人レミー・リシャール・ポンヴェールによって1908年に始まりました。
以来100年以上にもわたって、メイド・イン・フランスの高級ハンドメイドシューズを世界中に送り続けています。
ブランドを特徴づけているのが以下の3点にあると言えます。
ブランド名の由来、自社製ラバーソール
ボリュームがあるラバーソール。パラブーツは、ソールを自社で製造する唯一のシューズメーカーとして知られます。
このラバーソール、単にグリップ性に優れるだけでなく、恐ろしく摩耗に強い、つまり減りません。
私はシャンボードを20年履きましたが、ヒールが取れたことが一度あるものの、なんとオールソール交換はしていません。
ちなみに原料となる天然ラテックスがブラジルのパラ港から出荷されていたことがブランド名の由来です。
「フランスの至宝」、リスレザー
多くのモデルで採用されているアッパー素材は厚く、柔らかく、官能的に美しいリスレザー。
油分を多く含んでおり、防水性に優れているばかりではなく、手入れをして履き続けるほどに独特の艶も出てきます。
その特質から「フランスの至宝」とまで称されています。
代名詞の「ノルヴェイジャン製法」
本格靴の製法のうち、もっとも防水性・防寒性・堅牢性に優れるノルヴェイジャン製法によって作られるモデルが多いことで知られます。
製法については詳しくは述べませんが(説明がたいへん難しいです。)、ノルヴェイジャン製法といえばパラブーツ。
これは、長年の登山靴の製造で培われた技術です。
アッパーとソールの間の一目でわかるステッチが、全体的にぽってりと愛らしいシェイプとあいまって、パラブーツの靴の見た目の特徴となっています。
パラブーツのサイズ選びは難しい
このように知れば知るほど魅力的なパラブーツですが、そのサイズ選びはほかのドレスシューズと比べても難しいと感じます。
独特のシェイプから来る難しさ
なぜでしょうか?それは、ひとつには、パラブーツのシューズは、「捨て寸」がなく「甲が高い」ものが多いからです。
「捨て寸」とは、靴を履いたときにつま先と靴の空間のことです。
捨て寸が全くない靴は絶えずつま先が靴の内側に当たっていることになり、窮屈そのもの。つまり、サイズが合っていないということです。
どんな靴でもある程度の捨て寸は必要です。
ところがパラブーツは、適正サイズで捨て寸があまりない靴なので、「ある程度捨て寸がないと歩きにくい」といった常識が通じないところがあります。
例えば、よく「捨て寸は3cm必要」などと言われますが、パラブーツで捨て寸を3cmも設けたら、相当のオーバーサイズです。
これは、つま先が丸いため、細身のドレスシューズのように、「足の最も幅広の部分でホールドする靴」ではなく、「足全体を包むような発想の靴」だからといえばイメージしやすいでしょうか。
もう一つの「甲の高さ」ですが、全体的にボリュームのある靴で、高さもあるので、甲の低い足の人だとサイズ的には合っているのに甲が「浮く」という状態になります。
つまり、フィット感が得られにくいということです。
紐靴の場合なら締めればよいのですが、それにも限界があり、外羽根(ひもを通す部分の皮)同士の隙間がくっついてしまい、それ以上締められないということもあります。
この状態は見た目にも美しくありません。
このように、パラブーツの靴は魅力である丸みを帯びた特徴的なシェイプとボリュームのおかげで、サイズ選びが少々難しくなり、スニーカーのように「いつものサイズで」という気軽さでは選べないのです。
モデルによる違いも
さらに厄介なことに、同じパラブーツでも、モデルによって適正サイズが違うということもあります。
これは、パラブーツとしてはそんなつもりはないのかもしれませんが、私の所有のモデルを例に、参考までにメモしてみます。
ちなみに私はスニーカーだと26.5センチを履きます。足のタイプとしては幅は薄く、甲は低い、ということでそもそもパラブーツに向かないんじゃという気もしますが、ご参考まで。
パラブーツ以外の革靴だとだいたい7 1/2です。
中指が一番長いタイプの足です。
“シャンボード”
言わずと知れたパラブーツの代名詞のUチップですね。
私の場合、「7ではわずかに小さく(つま先の一部が当たる)、71/2では甲がやや浮く。仕方なく71/2を履く」という感じです。靴下はビジネスソックスのほうが多いですがカジュアルソックスの時もあります。
この一長一短は本当に微妙なところで、ジャストサイズを追求するなら7をチョイスしたいところですが、縦方向の圧迫感はなじみようがないので我慢しているといった感じです。
結局のところ、私にとってシャンボードのジャストサイズはないと言わざるを得ません。残念です…!!
“バース”
夏に大活躍のデッキシューズです。
デッキシューズは各メーカーで出していますが、パラブーツほど高級感がありそれでいて使い倒せそうなものはそうそうないのではないでしょうか?
私は7でジャストです。
ただし、ほぼ裸足ではきます。また、デッキシューズは外羽根同士がくっつくということはありえず、紐での調節が容易という点もフィット感のよさにつながっていると思います。
“アヴォリアーズ”
クラシカルな登山靴です。もちろん、登山にも使えます。
タウンユースでも登山でも使えるというのはある意味最強のオールラウンダーですね。
カジュアルソックスオンリー。71/2です。
フィット感はシャンボードと似た感じです。
ただ、こちらも構造上紐はいくらでも締めることができますので、厚手の靴下を履いて登山に行くという用途にも使うというのであれば8でもいいかもしれないという印象です。
“アドニス”
パラブーツらしからぬ端正な顔立ちのローファーです。緑の布タグがないのもいいです。
ビジネスソックスオンリーで履きます。つま先、甲ともに7でジャストフィットです。
71/2と7を履き比べ、7でつま先が当たらないのを確認して、全体的にはきついなと思ったものをチョイスして大成功という感じでした。
サイズ選びのコツ
このように難しい、というより癖のあるパラブーツのサイズ選び。
ここでは失敗しないためのコツを整理してみます。
基本はサイズダウン
まずはよく見られるサイズの対応表をご覧ください。(下にあります)
多くの人はこれに沿って自分のサイズを想像するでしょう。「スニーカーは26.5センチだから、8を買えばいいんだな」という具合に。
しかし、この考え方だと、ドレスシューズ全般に言えることですが、特にパラブーツは大きすぎるサイズを選択してしまうことになります。
結論から言うと、このサイズからワンサイズか、ハーフサイズ下げたものが適正サイズであることが多いです。
私のように、いつもスニーカーは26.5cmを履く人だと、対応するUKサイズは8ですが、ワンサイズ下げた7かハーフサイズ下げた71/2が適正サイズとなるというわけです。
いつもの靴下で
ふつうはショップで試着をして買うと思いますが、その靴を、どの靴下で履くのかは意識したほうがいいです。スーツスタイルなら薄手の靴下、カジュアルなら比較的厚手となると思います。
フィット感はかなり変わってきますので。
もっとも、若干大きめだと思ったら厚手の靴下で履くという方法もありますね。
オンラインショッピングでも返品交換可
「パラブーツがほしいけど近くにショップがない」という方もいらっしゃると思いますが、ご安心を。
パラブーツは比較的オンラインショップでの取り扱いが多い靴です。
しかもうれしいことに、返品交換が可能な店も多いのです。
こうしたショップをうまく使えば、もはやオンラインショップでの靴購入は「後戻りのできない一発勝負」ではありません。
フィッティングのチェックポイント
最後に、私の経験から得た試着の際のチェックポイントをご参考までに書いておきます。
つま先が当たらなければ、小さめを
小さめを選ぶとはいえつま先が当たるものだけは小さすぎです。
革は足になじんで伸びてくるものですが、履き続けても縦方向に伸びることはありません。正確に言うと、伸びるでしょうがその前に足を痛めます。
しかし、「つま先が当たらないが、ちょっときついんじゃないのか」というものに巡り合ったら、それがジャストサイズである可能性は高いです。横方向には伸びるのと、靴底に使われているコルクが沈んでくるからです。
外羽根が閉じ切るものは大きすぎ
シャンボードなどの紐靴についてですが、試着段階でひもを締めたときに、外羽根の間が閉じ切るようだとオーバーサイズです。
なぜなら、その大きさだとなじんできたときにそれ以上締めようがないということだからです。
もしつま先と相談してハーフサイズかワンサイズ落とせるようなら、落とした方がいいですよ。
中敷きを使えば合わない靴はない
「長さは合っているが高さが合わない(甲が浮く)」、「でもどうしてもそのモデルを履きたい!」という人は中敷きです。
私に関しては、シャンボードをジャストフィットで履くためにはこれを使うほかありません。
お気づきでしょうか?3つのポイントは、川柳風だったということを。失礼しました。内容は真面目です。
パラブーツは手入れさえ怠らなければ20年履けます。
お読みいただいた方の生涯の一足選びの参考になるのなら幸いです。
大人のスタイル 基本のき あなたをもっとお洒落にする200の法則 (BIGMANスペシャル)
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2011/04/06
- メディア: ムック
- 購入: 1人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
(雑記)zozo離れと靴の話
こんにちは。
アパレルの「zozo離れ」が加速しているそうです。
「ZOZO離れ」食い止めシフト。前澤社長はアパレルにくすぶる不満解消できるか | BUSINESS INSIDER JAPAN
以前こちらの記事で、zozoarigatoセールについて「売れ残りの処分かと思ったら靴まで安い」「おまけに社会貢献にもなるらしい」と靴好き消費者目線から歓迎した私ですが、全体を見ればそうめでたい話でもないようです。
本記事では、このzozo離れ問題の行方と、zozotownとの付き合い方について考えを述べたいと思います。ただし、「知ってる」と言われそうですが私は業界の人でも事情通でもありませんので、靴が好きなおっさんの戯言と思ってお付き合いください。
zozo離れとは
zozo離れとは、ファッション通販サイト「zozotown」への出店者であるアパレルが同サイトでの出店をとりやめ撤退する動きを指すようです。
てっきり飽きやすい消費者がzozotownで買い物をしなくなることかと思ったら売る側の話でした。
その原因は、
- 勝手に安売りをされ、ブランドイメージが傷つく
- 手数料が高い
- ビジネスの方向性が合わない
とアパレルがzozotownを嫌気し始めたということです。
勝手に安売りとはどういうことかというと、決定的なものが例のarigato会員対象の全品30%オフセールです。
すなわち年会費(3,000円)を払ってarigato会員に入会すれば、特典として入会月の買い物がもれなく3割引になるというもの。
それは決して値下げをしない高級靴も例外ではない、という衝撃的なものであるのですが、どうやらこれを、「値下げ分はzozotownが負担するんだからいいでしょ」とばかりに断行したという構図のようです。
確かに、アパレルとしてはたまったものじゃありませんね。イメージを含めて自社の大事な取扱い商品が他社のファストファッションなんかといっしょくたに一斉値下げされているようにしか見えませんからね。
バーゲン時期でもセール対象外のコーナーが定位置だった商品を量販店が客寄せのために赤字覚悟でもってけドロボーとばかりに叩き売るような話です。
実際、実店舗や自社の通販サイトでは正規の価格で売るので苦情も受けているとのことで、アパレル側のメリットは1つもありません。
また、「手数料」に関しては、商品が売れた時にzozo側に取られるものですが、これが3割と割高で、利用者の多いzozotownのプラットフォームを使えるメリットは大きいものの、今回のようなことが起きるにつけその不満が噴出といったところでしょうか。
「ビジネスの方向性」に関しては、自社製品を持たず単に商品を売るだけのzozoさんとものづくりのアパレルとで価値観の違いが顕著になってきたということのようです。
先の記事でもzozoスーツのデータを活用して立ち上げ大コケしたプライベートブランドについて「データと素材があればいい服ができるなんてそんな簡単なものではない」「アパレルビジネスやモノ作りをなめすぎている」と非難が集まっている。とのアパレル側の声を伝えています。
どうなるzozotown
zozotownの前澤社長のツイッターですが、100万円バラマキで集めたフォロワーが100万人減ったとか、撤退が濃厚なユナイテッドアローズとは仲がいいんですとかアピールをしたあたりを最後に、「本業に専念」するために休止しています。
希代のやり手実業家、ついに本気を出すようです。
激おこのアパレルとの仲を修復し、本当の意味での通販サイトとアパレルの融合を成し遂げることができるのでしょうか。それとももう覆水盆に返らずなのでしょうか?
株価の下落も食い止められるのでしょうか?
どうするzozoarigato
服を買って社会貢献のはずのzozoarigatoですが、商売の鉄則、売ってよし買ってよし作ってよしのバランスを見誤った形で暗雲が垂れ込めていると言えそうです。
行く末については素人の憶測などなんの価値はありませんので控えますが、言えることは2つだけだと思いますので、最後にそれを述べたいと思います。
高級靴が3割引ということはもうありえない。しかも現品限り
この先どう転ぼうとも今の割引を継続してやっていくということはあり得ないでしょう。
基本的に値引きをしない商品を扱うアパレルがzozotownに新しい商品を補充することはありえないからですね。
とすると我々が目にしているのは正規輸入の高級靴が3割引で売られている通販サイトの最後の光景になるわけで、在庫がなくなったらそれで終わりということです。
靴に罪はない
悩ましいのがここで、確かに靴愛好家の心理としても、愛する靴を不当に安売りをされたというしこりが残ります。
まさしく安ければいいというものではない複雑さがあります。間違いなく確かなものなのにブランドとは不思議なものです。
そういった「ケチがついた」商品を買って喜んでていいのかという気すらしてきます。
(通常価格も選べる)…
しかし、言えることは靴に罪はないということ。不幸にして叩き売られた格好の靴だからこそ愛好家として買って大切にしていくというのもアリなんじゃないでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
失敗しない革靴の紐の選び方の3つのポイント
皆さんこんにちは。
本日は地味に悩ましい革靴の靴紐選びのお話です。
革靴(ドレスシューズ)の紐の交換
大切な革靴ですが、靴紐と靴底だけは消耗品ですよね。
靴底は専門の業者さんにお願いするしかないですが靴紐は自分で買って交換しなければなりません。
しかし純正品はなかなか手に入らなかったり、ちょっと高かったりするので、合う靴紐を探すことになると思いますが、基本的なポイントを押さえておかないと、いざ選ぼうとした時に「この靴に合う靴紐ってどれだろう?」と悩んだりすることになります。
そこで、今回は失敗しない靴紐選びのためのポイントについて書いてみたいと思います。
革靴の紐には種類がある
長さ
革靴の紐のだいたいの長さは、アイレット(ハトメ、紐穴)の数で決まります。概ね次の通りです。
- 穴の数4(左右2ずつ)…50〜60センチ
- 穴の数6…55〜65センチ
- 穴の数8…60〜70センチ
- 穴の数10…65〜75センチ
- 穴の数12…70〜80センチ
穴の数はチャッカブーツなどは4、オーソドックスな革靴は10ですね。
太さ
2ミリと3ミリが代表的な太さで、ビジネス対応の革靴ならだいたいこのいずれかで大丈夫です。
細ければドレッシーに、太ければカジュアル、ワークテイストになります。
形状
丸紐か平紐です。ホース状かきしめん状かの違い。フィット感は平紐の方が優れますがよじれるのを直すが面倒という面も。また、見た目にも大きく影響します。
好みですが私は丸紐しか使ったことがありません。
仕上げ
ろう引きと呼ばれるものとガス紐と呼ばれるものがあります。
紐にワックスを染み込ませた光沢があるものがろう引き、加工していないものがガス紐です。
ろう引は高級感とフィット感の得やすさが特徴。ガス紐は解けにくく、カジュアルな感じの印象になります。耐久性はろう引きの方が優れます。
両端はほつれ止めのためプラスチックの筒やコーティング剤で固めているのが一般的。稀に金属製のものもあります。
色
靴の色に合わせることになるので黒か茶が一般的ですが、あえて明るい色などでカジュアルに使う方法も提唱されています。
これは趣味の世界です。少々危険でもあります(笑)
装着例にみる印象
以下、実例を載せますのでご参考に。
ストレートチップに2ミリのろう引き,75センチ
まず間違いない組み合わせですね。
カントリー風のフルブローグ に3ミリのガス紐,75センチ
太めの靴紐ですがカントリー風なので合いますね。
Uチップに2ミリのろう引き,75センチ
J.Mウェストンのゴルフですが、無理なく合います。
しかしもともと太めのガス紐でした。しかも長さが85センチ(!)と長かったこともありこれは少々短いようにも見えます。
チャッカブーツに3ミリのガス紐,60センチ
カジュアル寄りのチャッカブーツですが太いガス紐だと合わないように思います。スェードならいいかもしれませんが。
コードバンのチャッカブーツに2ミリのろう引き(ワインレッド),60センチ
実際には靴の色に合わせようとしたものですが、想像と違いました。これはこれでありとするかどうか、悩みます。
失敗しない靴紐選び
ドレスシューズは細め、ろう引き、黒か茶
特にドレッシーなストレートチップやプレーントゥなど、フォーマル・ビジネスなら細めの、高級感のあるろう引きを選択すべきです。
長さはこのタイプの靴なら穴の対の数×15センチを目安にすると良いと思います。(穴が10ならば5対なので5×15=75センチ)
ボリュームのある靴には太め
カントリー風やパラブーツなどのボリュームのある靴なら3ミリ程度の太めの方が合います。
UチップだとJ.Mウェストンとパラブーツのシャンボードでは、前者はギリギリ2ミリでもいいですが後者は2ミリだとかなりアンバランス感が出るように感じます。
色はオーソドックスを選択すべし
オンとオフを色の違う靴紐でという楽しみ方もあるようですが、あまりうまく言っている例を見ません。あくまで好みでしょうが靴の色に合わせることを考えた方が良いと思います。
なお経験上靴に塗るシュークリームを紐に塗り込むというのも効果的です。
まとめ
単純なようで迷いがちな靴の紐選び。
皆様の参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます😊
おまけに装着例で使用している靴紐を載せておきます。
ドレッシーなろう引き
(クツヒモドットコム) 靴ひも.com ロー引き・石目柄・丸・(約2mm)・黒・75cm・ひも先加工-クリア(透明) セル ・みつろう有り
- 出版社/メーカー: kutsuhimo.com(クツヒモドットコム)
- メディア: ウェア&シューズ
- この商品を含むブログを見る
カジュアルな太めのガス紐
カラーバリエーション
冒頭のオールデンに使用してるもの