パラブーツのサイズ感は?特徴を知って失敗しない靴選びを
靴好きなら一足は持っている「パラブーツ」。本記事では、主にそのサイズ感について、愛好家の立場から書いてみたいと思います。
本記事は、こんな人におすすめです。
- 「パラブーツがほしいけどサイズ選びで失敗したくない」
- 「どのサイズを選ぶべきか知りたい」
- 「実際に持っている人からリアルなサイズ感を聞きたい」
ではどうぞ!
パラブーツとは
靴好きを魅了してやまないパラブーツ。移ろいやすいファッション業界にあって、変わらぬ存在感を示す稀有な存在のシューズブランドです。
まずはそのブランドと製品についておさらいをしましょう。
(「知ってるよ」という方は読み飛ばしてください。)
日本の公式サイトで「パラブーツの歴史」を見ると飛び込んでくる(我こそ)「フランスの一部」のコピー。強烈な自負を感じますね。
それもうなずけるのがこのシューズメーカーの歴史と確かなものづくりと言えるでしょう。。
パラブーツは、靴職人レミー・リシャール・ポンヴェールによって1908年に始まりました。
以来100年以上にもわたって、メイド・イン・フランスの高級ハンドメイドシューズを世界中に送り続けています。
ブランドを特徴づけているのが以下の3点にあると言えます。
ブランド名の由来、自社製ラバーソール
ボリュームがあるラバーソール。パラブーツは、ソールを自社で製造する唯一のシューズメーカーとして知られます。
このラバーソール、単にグリップ性に優れるだけでなく、恐ろしく摩耗に強い、つまり減りません。
私はシャンボードを20年履きましたが、ヒールが取れたことが一度あるものの、なんとオールソール交換はしていません。
ちなみに原料となる天然ラテックスがブラジルのパラ港から出荷されていたことがブランド名の由来です。
「フランスの至宝」、リスレザー
多くのモデルで採用されているアッパー素材は厚く、柔らかく、官能的に美しいリスレザー。
油分を多く含んでおり、防水性に優れているばかりではなく、手入れをして履き続けるほどに独特の艶も出てきます。
その特質から「フランスの至宝」とまで称されています。
代名詞の「ノルヴェイジャン製法」
本格靴の製法のうち、もっとも防水性・防寒性・堅牢性に優れるノルヴェイジャン製法によって作られるモデルが多いことで知られます。
製法については詳しくは述べませんが(説明がたいへん難しいです。)、ノルヴェイジャン製法といえばパラブーツ。
これは、長年の登山靴の製造で培われた技術です。
アッパーとソールの間の一目でわかるステッチが、全体的にぽってりと愛らしいシェイプとあいまって、パラブーツの靴の見た目の特徴となっています。
パラブーツのサイズ選びは難しい
このように知れば知るほど魅力的なパラブーツですが、そのサイズ選びはほかのドレスシューズと比べても難しいと感じます。
独特のシェイプから来る難しさ
なぜでしょうか?それは、ひとつには、パラブーツのシューズは、「捨て寸」がなく「甲が高い」ものが多いからです。
「捨て寸」とは、靴を履いたときにつま先と靴の空間のことです。
捨て寸が全くない靴は絶えずつま先が靴の内側に当たっていることになり、窮屈そのもの。つまり、サイズが合っていないということです。
どんな靴でもある程度の捨て寸は必要です。
ところがパラブーツは、適正サイズで捨て寸があまりない靴なので、「ある程度捨て寸がないと歩きにくい」といった常識が通じないところがあります。
例えば、よく「捨て寸は3cm必要」などと言われますが、パラブーツで捨て寸を3cmも設けたら、相当のオーバーサイズです。
これは、つま先が丸いため、細身のドレスシューズのように、「足の最も幅広の部分でホールドする靴」ではなく、「足全体を包むような発想の靴」だからといえばイメージしやすいでしょうか。
もう一つの「甲の高さ」ですが、全体的にボリュームのある靴で、高さもあるので、甲の低い足の人だとサイズ的には合っているのに甲が「浮く」という状態になります。
つまり、フィット感が得られにくいということです。
紐靴の場合なら締めればよいのですが、それにも限界があり、外羽根(ひもを通す部分の皮)同士の隙間がくっついてしまい、それ以上締められないということもあります。
この状態は見た目にも美しくありません。
このように、パラブーツの靴は魅力である丸みを帯びた特徴的なシェイプとボリュームのおかげで、サイズ選びが少々難しくなり、スニーカーのように「いつものサイズで」という気軽さでは選べないのです。
モデルによる違いも
さらに厄介なことに、同じパラブーツでも、モデルによって適正サイズが違うということもあります。
これは、パラブーツとしてはそんなつもりはないのかもしれませんが、私の所有のモデルを例に、参考までにメモしてみます。
ちなみに私はスニーカーだと26.5センチを履きます。足のタイプとしては幅は薄く、甲は低い、ということでそもそもパラブーツに向かないんじゃという気もしますが、ご参考まで。
パラブーツ以外の革靴だとだいたい7 1/2です。
中指が一番長いタイプの足です。
“シャンボード”
言わずと知れたパラブーツの代名詞のUチップですね。
私の場合、「7ではわずかに小さく(つま先の一部が当たる)、71/2では甲がやや浮く。仕方なく71/2を履く」という感じです。靴下はビジネスソックスのほうが多いですがカジュアルソックスの時もあります。
この一長一短は本当に微妙なところで、ジャストサイズを追求するなら7をチョイスしたいところですが、縦方向の圧迫感はなじみようがないので我慢しているといった感じです。
結局のところ、私にとってシャンボードのジャストサイズはないと言わざるを得ません。残念です…!!
“バース”
夏に大活躍のデッキシューズです。
デッキシューズは各メーカーで出していますが、パラブーツほど高級感がありそれでいて使い倒せそうなものはそうそうないのではないでしょうか?
私は7でジャストです。
ただし、ほぼ裸足ではきます。また、デッキシューズは外羽根同士がくっつくということはありえず、紐での調節が容易という点もフィット感のよさにつながっていると思います。
“アヴォリアーズ”
クラシカルな登山靴です。もちろん、登山にも使えます。
タウンユースでも登山でも使えるというのはある意味最強のオールラウンダーですね。
カジュアルソックスオンリー。71/2です。
フィット感はシャンボードと似た感じです。
ただ、こちらも構造上紐はいくらでも締めることができますので、厚手の靴下を履いて登山に行くという用途にも使うというのであれば8でもいいかもしれないという印象です。
“アドニス”
パラブーツらしからぬ端正な顔立ちのローファーです。緑の布タグがないのもいいです。
ビジネスソックスオンリーで履きます。つま先、甲ともに7でジャストフィットです。
71/2と7を履き比べ、7でつま先が当たらないのを確認して、全体的にはきついなと思ったものをチョイスして大成功という感じでした。
サイズ選びのコツ
このように難しい、というより癖のあるパラブーツのサイズ選び。
ここでは失敗しないためのコツを整理してみます。
基本はサイズダウン
まずはよく見られるサイズの対応表をご覧ください。(下にあります)
多くの人はこれに沿って自分のサイズを想像するでしょう。「スニーカーは26.5センチだから、8を買えばいいんだな」という具合に。
しかし、この考え方だと、ドレスシューズ全般に言えることですが、特にパラブーツは大きすぎるサイズを選択してしまうことになります。
結論から言うと、このサイズからワンサイズか、ハーフサイズ下げたものが適正サイズであることが多いです。
私のように、いつもスニーカーは26.5cmを履く人だと、対応するUKサイズは8ですが、ワンサイズ下げた7かハーフサイズ下げた71/2が適正サイズとなるというわけです。
いつもの靴下で
ふつうはショップで試着をして買うと思いますが、その靴を、どの靴下で履くのかは意識したほうがいいです。スーツスタイルなら薄手の靴下、カジュアルなら比較的厚手となると思います。
フィット感はかなり変わってきますので。
もっとも、若干大きめだと思ったら厚手の靴下で履くという方法もありますね。
オンラインショッピングでも返品交換可
「パラブーツがほしいけど近くにショップがない」という方もいらっしゃると思いますが、ご安心を。
パラブーツは比較的オンラインショップでの取り扱いが多い靴です。
しかもうれしいことに、返品交換が可能な店も多いのです。
こうしたショップをうまく使えば、もはやオンラインショップでの靴購入は「後戻りのできない一発勝負」ではありません。
フィッティングのチェックポイント
最後に、私の経験から得た試着の際のチェックポイントをご参考までに書いておきます。
つま先が当たらなければ、小さめを
小さめを選ぶとはいえつま先が当たるものだけは小さすぎです。
革は足になじんで伸びてくるものですが、履き続けても縦方向に伸びることはありません。正確に言うと、伸びるでしょうがその前に足を痛めます。
しかし、「つま先が当たらないが、ちょっときついんじゃないのか」というものに巡り合ったら、それがジャストサイズである可能性は高いです。横方向には伸びるのと、靴底に使われているコルクが沈んでくるからです。
外羽根が閉じ切るものは大きすぎ
シャンボードなどの紐靴についてですが、試着段階でひもを締めたときに、外羽根の間が閉じ切るようだとオーバーサイズです。
なぜなら、その大きさだとなじんできたときにそれ以上締めようがないということだからです。
もしつま先と相談してハーフサイズかワンサイズ落とせるようなら、落とした方がいいですよ。
中敷きを使えば合わない靴はない
「長さは合っているが高さが合わない(甲が浮く)」、「でもどうしてもそのモデルを履きたい!」という人は中敷きです。
私に関しては、シャンボードをジャストフィットで履くためにはこれを使うほかありません。
お気づきでしょうか?3つのポイントは、川柳風だったということを。失礼しました。内容は真面目です。
パラブーツは手入れさえ怠らなければ20年履けます。
お読みいただいた方の生涯の一足選びの参考になるのなら幸いです。
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