親父の小言とボディーブロー

人生折り返しの子育て世代。世知辛い世の中を面白く生きるためのあれこれと雑記

(追記あり)Suit-Yaでスーツを作った結果

 

Suit-Yaでオーダースーツを作ってみた

Suit-Yaとは“ネットで簡単オーダーメイド”を謳うスーツのオンラインストアです。

www.suit-ya.com

オーダーメイドスーツは店舗で店員さんが採寸して作るものであって、それをネット上で、という時点で既に可笑しな話だといえば身もふたもないのですが、とにかくこのほどこれを注文してみました。

 

動機としては、とにかく安い。私はいつも某オーダースーツ屋さんでスーツを作るのですが、同等と思しき生地を選んで作ったとして、2,3万円ほど安い。

 

もう一つ、いくら安くても身体に合わぬスーツは着れるものじゃないわけですが、今回、いつものオーダースーツ屋さんのご厚意で、私のスーツのデータをもらったので(本来ダメだそうなので、それゆえこのオーダースーツ屋さんの名称を出すわけにはいかない点をご了承ください。)、必ず身体に合うはずだという思惑があったからです。

 

サイト上のオーダーは、このいただいたデータと、サイトに丁寧に示されている採寸手順によって、容易にできました。しかし、話はそううまくはいかないのだということを知ることになるのです。

 

Suit-yaでオーダーしたスーツの実際

待つこと約1か月、スーツが届きました。

 

箱が薄いのでふと不安がよぎりますが、まずは気を取り直して開封の儀。以下感じたことをまとめます。

 

安っぽい

第一印象は、「安っぽい!」でした。

 

もちろん、失敗のリスクもあるので一番安い生地を選びましたが、それでもいつもの仕事用スーツ同様、ウール50%、ポリエステル50%でオーダーしたのである程度は期待していたものの、想像を超えて安っぽい。ペラペラです。

 

細部をみても、裏地がやたら表地側ギリギリまで攻めていて裏地がちょっと見えるとか、ラペルやパンツの裾のアイロンが強いのか雑なのか、生地のせいもあり既にアタリ(テカリ)がうっすら出ているとか、縫い目が揃っていないとか、お世辞にも作りのいいスーツには見えません。

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雑な縫製

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アタリ(パンツ裾)

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アタリ(ラペル)

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裏地が見えてる。。f:id:sonofabiscuit:20220315075704j:image

パンツのクリース(折り目)が二重。。

サイズが合わない

サイズが合いません。これには、こちらのミスと、先方のミス、そしてどっちのミスなのかわからないものとがあります。

 

最たるものが袖です。袖が長すぎる。ちなみにこれはなにか釈然としませんがこちらのミスです。

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これは酷い苦笑(左はいつものスーツ、右が今回のもの)

 

というのも、袖の長さに関しては、上に述べたように親切に測り方が示されているのですが、私には強い味方、店からいただいたサイズデータがありますので、このデータを入力してしまったのです。ところが、このデータは、今までのスーツの出来上がり寸法。

 

そして、Suit-Yaとしてはこれを実寸データと認識し、プラス3センチでスーツを作ります。意味が不明ですが、とにかく当然、「袖が長い」となるわけです。

 

同様のことが着丈でも起こりました。

 

こちらの伝えたデータを実寸と認識した結果、こちらは「マイナス3.5センチ」で作るそうなので、当然丈は短くなります。

 

長いのは詰められるものの、短いのはどうしようもないので致命的ですね。

 

あと、やっぱり胴回りは合いません。ここは難しいのだろうなと思っていましたが、想像以上にゆとりがあります。

 

これに関しては、実寸に対し、「プラスゆとり幅で仕立て」とあります。

 

ゆとり幅ってなんだよ。

 

とにかく、このゆとり幅というアバウトな基準が、思いっきりゆとりがあるということです。こればかりは、もう賭けです。そしてそれに勝つことは基本的にはできません。2,3センチも違えば耐え難い違和感を感じる世界なのですから、それを複数個所で「ゆとり幅」なるものも計算して(予測して)合わせられるわけがない。

 

かくして、袖は長く(プラス3センチ)、丈は短く(マイナス3.5センチ)、体にはフィットしない安っぽいスーツを3万円ちょっとかけて作ることになったという次第です。

 

このままででは、実用にはとても耐えないでしょう。ギリギリ作業着レベルです。

 

なおパンツのサイズの方はジャストでいうことなしでした。

 

どうやら指定したサイズどうりに仕上がってくるということは言えそうです。

 

”ジャストサイズ保証“がよくみると酷い

ところでSuit-Yaには自慢の「ジャストサイズ保証」というものがあります。送り返せば無料で直してくれるのだろうなどと考えては大違い。最寄りのお直し店(マジックミシンなど)で直し、商品によって定められた上限額の範囲(スーツだと5千円)で、しかもそれをSuit-Yaで使えるクーポンで保証するというのです。

 

しかし、まだこれを申請してはいないものの、保証の対象となるかどうかが怪しい(袖丈など自分のミスなので)うえ、どう考えても5千円では足りないでしょう。しかも、品質に大いに疑問がある人にとって、Suit-Yaで使えるクーポンに保証の意味があるでしょうか。保障じゃなく保証だからありということかもしれませんが。

 

教訓

ここで今回の反省点を整理すると以下のようになるでしょうか。もし参考になるのであれば人柱になった甲斐があります。

1 気が済むものができるわけがないと覚悟すべき

これに尽きます。

わずか3万円強の投資で、高級ではないまでもこれまで実店舗でオーダーでスーツを作っていた人が満足するスーツができるわけがないというのは、考えてみたら当然です。

 

また、例えば私のようにデータを持っていて、それを正しく伝えたとしても、店側は店独自の型紙を使うので、やっぱり出来上がりは店ごとに違うのだということは踏まえておく必要がありそうです。合うわけがないといってもいい。

 

完全に自分に合わせようと思ったら型紙から起こすフルオーダーしかないのです。だから、ある程度は妥協するという姿勢も必要になるでしょう。

 

いずれにせよこんなアバウトなやり方で、しかも一発で妥協できるレベルのものを作るというのはそもそも無理だということを理解すべきした。

 

2 自分のスーツを送るのが一番(少なくともマシ)

採寸に関しては上に述べた失敗のとおりです。

Suit-Yaには、自分のスーツを送って採寸してもらうというオーダー方法がありますので、事情が許せばこれを使えば間違いはなかったでしょう。

 

ただし、私がこれを使わなかったのは、納期が遅いのでスーツ1着がない期間が長くなることと、紛失のリスクが高そうで、その保障が十分でないという理由からでした(送った自分のスーツが無くなっても、29,800円の、これまた「仕立ての代用」での保証です。自分の大事なスーツを無くしたところに安いスーツ注文しますかね?)。

 

ここを許容できるかどうかですが、結果論ですがそうすれば失敗は少なかった可能性があります。

 

なおこうした紛失リスクと、品質・納期に影響しているのが次でも述べる「ベトナム縫製」という点でしょう。

 

3 生地サンプルを利用するべし

ところで安さの秘密は「ベトナム縫製」です。ベトナムでスーツを作り、送ってくるのです。

 

「ベトナム人の勤勉さと器用さ+日本人スタッフによる管理・検品」でお手軽にオーダーができるというわけですが、そこは否定はしませんが、コストを下げれば何人だろうが手間暇はかけられない。当然のことです。

 

またいくら勤勉で器用でもきちんとやり方を教えられる人がいなければなければ学ぶこともできないでしょう。肝心の品質管理が弱いというべきか。

 

そういう状況で、今回は安い生地で作りましたが、これを高級生地にしたらどうかと言っても、製造方法は変わらないので、やはり作りのいいスーツにはならないでしょう。

 

それを踏まえたうえで、それでも安すぎる生地は考えものです。Suit-Yaには生地サンプルを送ってくれるサービスがあるので、それを利用すればよかったなと思います。

 

思えば安さを売りにする「オーダースーツ店」が増えましたが、高級生地が「〇〇円から」と謳う、その下限の生地を見るとやっぱり不足を感じるものです。低価格を謳うためだけに用意された、店側としても売りたい商品でもない商品だということが多いのですから。

 

結局Suit-Yaはアリなのかナシなのか

これは非常に難しい問題です。

 

結論は出せませんが、自分はどうかと言われれば、もう一度チャレンジしてみようかと思っていますので、それが一つの結論、すなわち「二度と頼むかボケ」とは思っていない、実用に耐える可能性を感じているということです。

 

やはり仕事用スーツは言うても消耗品、安さというのは、やはり魅力であり、サイズさえ合わせれば使えないことはないと思っています。

 

30万の吊るし(既製品)より3万円のオーダーです。

 

スーツは価格よりも体にフィットするかどうかの方が重要なのですから。

 

そこで私はこのスーツをお直しに出してみる予定です。

 

直すところと、概ねそのサイズまで明らかなのですから、マシにはなるはずです。おそらく気が乗らない月曜日にでも着るスーツとして使われるレベルにはなるでしょう。

 

ただし、「作業着的仕事着として」でしょうか。

これは今回のものに限らず、改めて作ったとしてもです。仮に生地を多少良いものにして、サイズをそこそこ合わせられたとしても作りの悪さは隠せないと思いますので、大事なシーンには使わないほうが無難だろうと私は思います。

 

なお作りの悪さを考えると、金額的には、出しても4万円台までだろうと思います。それ以上出すのなら、多少高くてもやはり実店舗で店員さんとコミュニケーションしながら作ったほうが、絶対に満足のいくものができると断言できます。

 

ともあれ私の初のネットオーダーは、お直しが奏功するのかどうかにによって、安物買いの銭失いに終わるのか、一つの選択肢ができてこれからのスーツ選びを多少変えるものとなるのかが決まることになります。

 

結果はおって書く予定です。が、Suit-Yaクオリティに関しては語りつくした感があり、それはSuit-Yaのというより、お直し店の評価になりそうな気がします。

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

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説明書きはよく読みましょう

 

2022年5月11日追記 やっぱりナシだ

過日このスーツをお直しに出すべく近所のお直し店に行きました。

ざっと見積もって袖とウエスト直しで一万超えです。

「ジャストサイズ保証」か上述のとおり使えないものであるため、この時点で「作りの悪いスーツ」への投資額としては過大となりますが、さらに、袖丈は直せたとして、ウエストがきちんと直るかは不透明です。単に一部分を直せはいいものではなく全体のバランスに関わるからです。

しかも、奇跡的にイメージどおりになったとして、次回オーダーでこれを正確に伝えられる可能性は低いでしょう。

かくして、私はこれ以上のこのスーツに金をかけることはせず、高い授業料だと思って諦めることにしました。

 

結論から言うと、こうした顛末ですから、お得にいいスーツを買おうなどと言う向きには決しておすすめできるものではないことがわかりました。

 

もちろん私は二度と頼まないでしょう。

 

それほどこだわらない人ならいいかと言えば、それならば量販店の吊るし(既製品)を試着して買うのが良いでしょうから、これまたおすすめできません。

 

ちなみにこのスーツ、知人の息子が卒業式だか面接だか、一度しか着ないので買うのも…と言うので快く譲りました。誰かのお役に立てたのだからよしとしましょう。

 

お付き合いいただきましてありがとうございます。

 

 

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