5%還元を使い倒すためにクレジットカードの使い分けを考えてみた(にわかマイラー編)
はじめに
消費税が10%に上がり、同時に国の「キャッシュレス・消費者還元事業」が始まりました。
初耳の方は(いないか)先日記事を書きましたのでどうぞ。
これ、率直に言ってわかりにくい制度で、金が絡まなければ無視するレベルですが、なにしろ理解すれば5%が得をする、裏を返せば、わかりにくいと言って放り出したら5%損をする制度です。
こうした考えから、この1か月間、どうすれば得なのかをあれこれ考え、一定の(自分的)結論を見出しましたので、ご笑覧ください。
ただし、本稿は、単に額面上の得をしようという話ではありませんで(それだったら、もっと話はシンプルだと思います)、以下の前提条件があります。「あ、自分もそうだな」という向きには何らかの参考になるのではないかと思います。
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キャッシュレス・消費者還元制度を利用して、マイルを効率的に貯めたい
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つまり、キャッシュバックより、ポイントバックがほしい。
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それが、キャッシュバックよりもポイントのうえで「多少は」不利でもいい。
考察するクレジットカード
今回、この観点から考察するクレジットカードは以下のとおりです。もちろん、すべて保有しているものです。
1 ANA VISA ワイドゴールドカード
2 ORICOカード ザ ポイント
3 楽天カード
4 (番外)SPGアメックスカード
およそマイルを貯める、ということを考えると誰しもが行き着くラインナップと言えるでしょう。このほかにもこの3倍くらいのカードが半分死んでいますが。
1本に絞ることができればいいのですが、それぞれ長所短所があり、還元制度への対応も様々という事情も絡んでなかなかそうはいきません。
以下、そのもっともお得(だと思う)使い分けを個別に考察します。
1 ANA VISAワイドゴールドカード 〜セブンイレブンとENEOS用〜
単純に、マイルを貯めるならANA VISA ワイドゴールドカードがよい。これは誰も異を唱えないだろうと思います。
何しろ、最低でも100円=1ポイント=1マイルです。
100円=1ポイント(円)は「高還元」を売りにするカードではよくありますが、1ポイント=1マイルに交換できるカードというのは、そんなに多くありません。
後に触れるORICOカードも楽天カードも、基本は100円=1ポイントですが、マイルにしようとすると、それぞれ60%と50%です。
問題は、ANA VISAカードを発行する三井住友カードは、残念ながらキャッシュレス・消費者還元事業でポイントバックをしてくれないということなのです。引き落とし時に減算、つまりキャッシュバックです。ここがポイントバックだったらもうこのカード以外使わないというところでしたが、世の中そんなに甘くありませんでした。
しかし、最低でも100円=1マイル、工夫すれば1.3マイル(現在はもっと高還元率にできるようですが、近い将来、これが上限に)です。
また、ANA カードには、「ANA マイルプラス」という、特定の店舗で100円=2マイルになるサービスがあります。私がよく使うセブンイレブンとENEOSがこの対象店舗です。対象はそう多くありませんが、コンビニとガソリンスタンドはキャッシュレス・消費者還元事業においてポイントバックをしませんので、ここではこのANAカードを使う以外ありません。
したがって、このカードの還元事業中の用途は「セブンイレブンとENEOS用」と結論付けたいと思います。
もちろん、ある程度使わないと年会費負けするので、これだけというわけにもいきませんが。後述するSPGアメックスと調整するとよさそうだと思っています。
2 ORICOカード ザ ポイント 〜還元事業で、クレジットカード払いに対応している店舗用〜
当初は、このカードが本命になるのだろうと考えていました。なにしろ基本が高還元であるうえ、キャッシュレス・消費者還元事業において「ポイントで返す」数少ないカードであるからです。
マイルに交換するときに60%になってしまうとはいえ、同事業で5%が上乗せされれば、
基本1%+同事業5%=6%×0.6=3.6%
つまり、100円で3.6マイルです。衝撃的です。
しかし、これまたそんなうまい話はそうそうなく、5%還元の店の多くが支払い方法をpaypayに限っているのです。我が地方だけかもしれませんが。
カードが使えても還元事業はpaypayだけだったり
※この店はたまたまアプリで見つけただけのものです。実際どうなのかは知りません。
このpaypayがまた曲者で、「10%還元」とか煽っておきながら、還元はpaypay残高(つまりキャッシュバック)。…はまだ許せるとして、
・ヤフーカードかpaypay残高での支払い指定
・対象店舗も実はpaypayが使えるだけではダメ
など、非常にわかりにくいのです。上乗せサービスなのでありがたいとはいえ、事業をわかりにくくしている点では後述する楽天といい勝負で、大盤振る舞いしているのに、わかりにくさゆえによくよく調べた結果「実はそんなに得でもない」という印象になってくるから皮肉なものです。
ともあれ、そういう事情ですから、このカードはうまく対象に当たれば目論見通りになるものの、店側が対応していないと(上の例のように当店はpaypayによる支払いだけ5%還元です、となっていたりすると)大いに期待が外れることになりますので、店に入る前にアプリで指定支払い方法をチェックする必要がありそうです。でも、一度アプリの問い合わせ先番号に電話して聞いてみたら、「アプリも間違っているときがある」そうですから(なんだそれ。。)、実に悩ましいです。当の店舗側もよくわかってなかったりします。
ポイント還元と言っても財源が税金つまり他人の金ですから、店も決済事業者も案外いい加減。この辺りにも事業の危うさというか、どこか消費者置き去り感を感じるのは気のせいでしょうか。
脱線しましたが、以上のことから、このカードは還元事業で、クレジットカード払いに対応している店舗用とします。
オールラウンダーです。
多くは、地元の飲食店、とりわけ飲み会用でしょうか。
蛇足ながら、paypayでヤフーカードではなくOricoを使ったらと考えるわけですが、1ポイントすらつかない結果になるようですので、paypayしか使えない店はpaypayをヤフーカードに紐づけて(又は残高で)払うしかなさそうです。ポイントがゼロならせめてキャッシュバック。道理です。
3 楽天カード 〜楽天市場用〜
個人的な話で恐縮ですが、私は楽天が嫌いです。
サイトの見にくさ、サービスのわかりにくさ。
以前記事を書きましたのでお時間のある方はどうぞ。楽天ファンの方は飛ばしてください。
サービスのわかりにくさ、ここではポイントのことについて述べますが、5倍だ10倍だと派手に宣伝をしておきながら、その多くは「期間限定ポイント」すなわち楽天グループの中でオマケ的に消費するしかないものです。
もちろんマイルになど交換できません。
で、付くポイントが通常のポイントなのか、期間限定なのかは、散々サイト内を漁ってもさっぱりわかりません。
たまに、ものすごく小さな字で「〇月〇日までに使える期間限定ポイントとして進呈します」みたいなことが書いてあります。
私自身、いまだに正しく理解していないと思います。
ただ、上記のpaypayに続けとばかりに上乗せ事業をやっていますが、上乗せ事業分はすべて期間限定ポイントのようですから、やっぱり「そんなに得でもない」と思います。
通常ポイントならありがたいのだが
かように相変わらず私的好感度のあがらない楽天ですが、マイルの足しにすることを考えると、ネットショップだけは楽天に軍配が上がりそうです。
なぜなら、楽天市場での1〜3のカードの最大の「マイル還元率」は以下のようになります。
ANA VISA 2.0%(ANAマイレージモール経由で+1.0%)
Orico 3.9%(基本1%、オリコモール経由で+0.5%、還元事業+5%店舗の場合。マイル交換率×0.6%)
楽天 4.0%(基本3%、還元事業+5%店舗の場合。マイル交換率×0.5%)
一方、ネットショッピングの雄Amazonですが、残念なことに還元事業は「その場で値引き」方式です。
したがって、ネットショッピングだけは、見にくさを我慢して楽天市場、かつ、おとなしく楽天カードを使うべきかと思います。
4 (番外)SPGアメックス 〜地道に使いたい〜
キャッシュレス・消費者還元事業におけるアメックスは三井住友同様にキャッシュバックであり、しかもANAカードのような「マイルが倍貯まる場面」のようなエッジがないため、基本的に本テーマでは蚊帳の外と言ってよいのですが、あえて触れておきたいと思います。
このカードですが、年会費は高額ですが、「高級ホテル無料宿泊特典」があるから元はとれるな、と思って保有しているのですが、ANA VISAワイドゴールドとの交換率が徐々に縮小してくると、このカードの交換率(1.25%)の魅力が反対に大きくなってくるように感じます。しかも、こちらのカードではANAだけでなくJALのマイルにも交換できます。
したがって、このカードについては、ANA VISAワイドゴールドとの使い分けという位置づけで、地道にポイントを積み重ねるために使いたい。
すなわち、還元事業の対象外で、ANA マイルプラス対象外の実店舗用と結論付けたいと思います。
まとめ
キャッシュレス・消費者還元事業。当初現金以外はすべてポイントで返ってくるおいしい話かと思っていたら、対象となる支払い方法が店ごとに決まっていて、しかもポイントで返さないpaypayなどのコード決済が優位ということで、個人的にはだいぶ拍子抜けしました。
もっとも、消費増税の負担感を軽減するためにはキャッシュバックが本筋でポイントをマイルにしようなんて輩を顧みる必要はないのかもしれませんが、クレジットカードを発行できない人間でも使える決済手段だけが目立つキャッシュレス社会ってどうなんでしょうかねと皮肉の一つも言いたくなります。
ともあれ、制度が終わる2020年6月までは、本稿で整理した戦略でささやかながら馬鹿にできないポイントバックのプチバブルを享受しようと思うのであります。